人生の最大のよろこびは何か?
それはつまるところ、人をよろこばせることだと思った。
「人生はよろこばせごっこ」だと
気づいたとき、とても気が楽になった。
ぼくの歌の中で
代表作のように言われている
「てのひらを太陽に」の一節は、「生きているからかなしいんだ」
である。よく「なぜ悲しいんですか」と聞かれる。
悲しみがなければよろこびはない。
不幸にならなければ幸福はわからない。
空腹のときに食べるラーメンがどんなにおいしくて、
幸福なのかは実感できない。
(やなせたかし )